引っ越してから三年、一度も開けていない段ボールが二つある。中身は分かっていて、片方は学生のころのノート、もう片方は台所用品の予備だ。

捨てるかどうかを決めるために開けるのだが、開けた時点で捨てられなくなるのは毎回同じで、今日もそうなった。ノートの一冊目に挟まっていた時間割を見て、四限まである日が週に二日あったことを思い出す。当時はそれを重いと思っていた。

台所用品のほうは、鍋つかみと計量カップと、なぜか同じ栓抜きが三つ入っていた。三つ買った覚えはないので、どこかの時点で二回もらったのだと思う。

結局ノートは本棚の下段へ移し、栓抜きをひとつだけ台所に出した。段ボールは一つ減って、体積としてはほとんど変わっていない。

夕方まで作業して、残りの一箱は開けなかった。開けない理由も、今日はうまく思いつかない。

本棚の下段へ移したノート

雨。ベランダの鉢を軒下へ寄せた。土の匂いが立って、しばらく手を洗わずにいた。

軒下に寄せた鉢

昼を抜いて作業。集中したというより、切り上げどころを見失っていただけかもしれない。

上がったので散歩。アスファルトの窪みが空を映していて、そこだけ夜が早く来ていた。

雨の日の録音についての覚え書き傘に当たる音が入るのを避けるために、録音の位置をどこに置くかという話。example.com

帰りにコンビニで氷だけ買った。

雨上がりの窪み

締切をひとつ落とす連絡を書いた。送る前の三十分がいちばん重く、書いてしまえば十行で済む話だった。

返事は三行だった。毎回そうだと分かっているのに、毎回同じ重さがある。

古い外付けディスクを整理していたら、二〇一九年の写真が出てきた。写っている店はもうない。

同じ頃に何度も見ていた映像

消すつもりで開いて、結局ひとつも消さずに閉じた。

2019 年のフォルダ

駅前の蕎麦屋が朝七時から開くようになっていた。券売機のいちばん左が「かけ」で、値段が去年と同じだった。

券売機のいちばん左

出汁が濃い。汗をかきながら食べた。

昼まで機嫌がよかった。理由が朝の蕎麦しか思い当たらない。

  • 券売機のいちばん左が「かけ」
  • 出汁は濃いめ
  • 朝七時から、日曜は休み

台風が逸れた。備えた分の水と電池が余る。

棚の奥に押し込みながら、来る前提で用意したものが余るのは良いことなのだと思い直した。

同じ場所を朝と夕方に撮った。光の向きだけが違う。

夕方

窓を開けたら虫の声が二種類あった。片方は去年も聞いた気がする。

寝る前にかけていた

名前を調べようとして、調べないまま寝た。

人に説明するために書いた文章が、書いているうちに自分向けの整理になっていた。

書くことは、考えたことを記録する作業ではなく、考える作業そのものである。どこかで読んだ一文

引用しておいて出典が思い出せない。

結局そのまま送らず、翌朝に半分の長さで書き直すことにした。

翌朝に書き直す前の版

床屋。「短くしますか」と聞かれて、いつもより一段短くしてもらった。鏡の中の輪郭が少し違う。

帰り道、風の当たり方が変わっていて、それが妙に嬉しかった。

盆が明けて、電車が少しだけ混んだ。座れないのに、なぜか安心する。

実家の冷蔵庫に、貼られたままのメモがあった。二〇一一年の買い物リストで、字が今より丸い。

誰も剥がさないので、私も剥がさなかった。

朝顔が咲かないまま八月が半分過ぎた。蔓だけが元気で、支柱の先で行き場をなくしている。

このまま咲かなくてもいい気がしてきている。